ハイポカプニア(Hypocapnia)
■ 説明:
- 血中の 二酸化炭素(CO₂)濃度が低すぎる状態。
- 通常は**過換気(hyperventilation)**によって起こる。
■ 症状:
- めまい
- 手足のしびれ
- 意識混濁
- 呼吸抑制(呼吸ドライブの減少)
- 気絶(特に水中では非常に危険)
■ ケーススタディ:
フリーダイビングでの過換気
- ダイバーが「息を長く止めたい」ために、潜る前に過度な深呼吸を繰り返すと、血中のCO₂が異常に減少。
- 通常、呼吸欲求はCO₂上昇によって引き起こされるが、それが鈍くなる。
- 水中で突然の「ブラックアウト」(シャロウウォーターブラックアウト)を引き起こし、意識を失うケースが報告されている。
■ 事故例:「シャロウウォーターブラックアウト」(浅水域失神)
- 場所:フリーダイビング競技会(米国)
- 状況:
- 競技者が潜水前に意図的に過換気を行い、CO₂濃度を下げてから潜水。
- 約30m潜水後、浮上中の残り5mで突然意識を失う。
- セーフティダイバーにより救助され、意識を回復。
- 原因:
- CO₂濃度が低すぎたため、脳が酸素不足を感知する前に意識喪失。
- 教訓:
- フリーダイビング前の過換気は命取り。浅場でも油断禁物。
まとめ表(比較):
状態 | 原因 | 症状 | 主な危険シナリオ |
---|---|---|---|
ハイポカプニア | 過換気 | めまい・意識喪失 | フリーダイビング前の深呼吸 |
ハイパーカプニア | CO₂蓄積 | 頭痛・混乱・意識喪失 | リブリーザーの不適切使用 |
ハイポオキシア | 酸素不足 | 混乱・ブラックアウト | 息止め・浮上時の酸素低下 |
ハイパーオキシア | 酸素過多 | けいれん・意識喪失 | ナイトロックスの深度超過 |